(3)真偽論争を決着させるために

糸口を模索   
 ここからは「量子効果」のある本物の量子医学について考えていこう。なぜ、磁気治療はニセ医学扱いされるばかりで、真偽論争は決着しなかったのか。磁気治療の効果が不安定であり、治癒が事実であることを確定させることができない。そして、有効であるならば、なぜ効果が現れるのか、その理由を説明できる理論が分からなかったためである。解明できないな状態が続いたことは、科学研究の怠慢ではないのか。医師や研究者たちが、科学の体系や、科学研究の論理や方法を理解していことの結果といえる。

 そもそも、科学的であるはずの現代医学であるが、対症療法しかできない、副作用などの不都合が起きる、原因や病名が分からなければ治療ができない、などの限界や批判がある。そのような状態にある現代医学が、磁気療法を解明できるはずもないのである。薬物療法を主たる治療法としている限り有効な治療ができないのであるならば、薬物療法を放棄して、他の治療法に転換するしかない。

 病気という現象は分子レベルにおいて発現する、その階層を支配する物理法則が量子力学である。量子力学の確立によって、化学は物理学の一部となった、量子力学ならば磁気治療の真偽論争を決着させることが期待できるのではないか。それに挑戦してみるしかない。もしも、成功するならば、それは同時に医学のパラダイム転換となる。真偽論争の決着とパラダイム転換は表裏の関係といえるだろう。

 磁気によって治療ができるのは、タンパク質分子に磁性があるためである。物質の磁性のほとんどは電子の運動によって生じるが、電子の軌道は分子の構造によって決まるため、いきなり磁性を論じることはできない。そこで、温冷熱療法を扱ってから、タンパク質分子の磁性を考えることにしよう。

 

温冷熱療法という変則事例

 現代医学の論理や方法が生命現象に整合的ではないことは確かであろうが、磁気治療解明をするためには、どこからどのように手を付ければよいのか分からない。そのようなとき、糸口となったのが温冷熱療法である。カイロやアイスパックで、体表を温めたり冷やしたりすると、グーグーと腹が鳴る「腹鳴反応」が起きて間もなく症状が解消することがある。その効果については、血流が改善される、老廃物が除去される、といった程度の説明しかされてこなかった。しかも、患部から離れた経穴といわれるような部位に対して熱を加えても効果が現れる場合がある、熱が加えられていない部位になぜ効果が現れるのか、熱を加えるだけの単純な治療法であるが、それほど単純な現象ではないのである。  

 どのような治療であろうが、タンパク質分子を標的として行われる。タンパク質分子は、骨格構造と官能基からなる複合分子である。官能基はタンパク質分子の種類によって異なり、薬物療法では低分子化合物が官能基と結合して機能を調整する。骨格構造では化学反応はおきないが、その構造が決まればタンパク質分子全体の構造が決まる。骨格構造は同じ原子配列の繰り返しとなっており結晶構造である。結晶構造の構造変化は、「構造相転移」と呼ばれる。

 

温冷熱治療のメカニズム  

 治療効果があるならば、治療方法が異なるとしても、薬物療法と同様にタンパク質分子に作用したはずである。症状の異なる病気も、熱を加えるだけで治療する事例を少なからず経験している。化学反応が起きることなく治癒可能であることから、熱はタンパク質分子の骨格構造に作用していることになる。タンパク質分子は、官能基においては化学変化が起き、骨格構造においては物理変化をする。1つの分子の中に、化学変化と物理変化が並存することになるので、これを説明するためには量子力学が必要となるだろう。

 熱は赤外線領域の電磁波によって伝わる。カイロやアイスパックからの熱は、赤外線の中でもエネルギーの低い遠赤外線である。骨格構造の内部には、単結合による結合が多数含まれている。単結合部位は電気双極子として振動しており、その振動数は遠赤外線領域の振動数と重なり、ねじれ回転という回転が可能である。

 N末端からC末端に至る 骨格構造は、長大な極性高分子とみることができる。骨格構造全体の電気双極子モーメントは、各電気双極子の電気双極子モーメントの総和となる。骨格構造に極性があるとき、骨格構造の固有振動数と同じ振動数の遠赤外線と共鳴すると、エネルギーを吸収または放出して振幅が増大する、励起状態というエネルギー的に不安定状態になる。このとき、単結合部位がねじれ回転を起こすことによって、安定的な構造になることができる。構造が変化すれば、結合エネルギーが変化するので、エネルギー的に安定した状態になることができる。熱を加えることによって、タンパク質分子全体の構造と極性変化が変化することになり、官能基における化学反応の速度が変化することになる。骨格構造の「構造相転移」は、官能基の化学反応に対して、アクセル・ブレーキのように働くことになる。それによって生体の機能が正常状態を逸脱すると病気という状態になる。つまり、骨格構造の「構造相転移」が、病気という現象の本質なのである。したがって、薬物を使わなくても、可逆的に元の構造に戻すことができれば完治する。ちなみに、腹鳴反応は励起状態に伴って現れると考えられる。しかし、温冷熱療法を行うのは面倒であり、実際に治療できる病気は限定的である。「相転移」は熱のみによって起きる物理現象ではない。もっと簡単に、そして、有効な方法はないか。

                                (4)に続く

 

(注意)

 本ブログや電子書籍ニセ科学ではなかった磁気療法」から、法則や理論、ノウハウを許可なく引用・利用、インターネットやSNSに公衆送信することは、知的財産権を毀損することになり公正とは言えない。理由や長短にかかわらず、全面的に禁止します。著作権法違反、不正競争防止法違反として厳重に対処します。